猫の恩返し
先日、美容院の猫を撮っていて叔母を思い出した。
夫の叔母は大の猫好き。
長年飼っていた猫が亡くなった時の彼女の喪失感は相当なものだった。
しばらくして彼女はお遍路に出た。
四国八十八ヶ所を猫の供養のために歩いた。
2ヶ月以上、歩き続けた。
お遍路を終えてからの彼女はラッキーなことが多い。
長年、止められなかったタバコが、急にイヤになって吸わなくなったり、
見逃されてしまいそうな病気の芽が、奇跡的に早く見つかって大事に至らなかったり、日々の暮らしの中でも運がいいとしか言いようがない、ということが続いている。
きっと、これは「猫の恩返し」だと叔母は言う。
多分、そうだろうと周りの誰もが思う。
可愛がっていた猫の供養に遍路道を歩く。
ただ、ひたすら歩いた彼女。
叔母をみていると
その猫が守っているのだろうな、と感じることがある。
一人で生きてきた叔母は
弱いもの、小さなものへの愛に満ちている。
力のないものに慈しみの眼差しを向ける。
猫の恩返しは、まだまだ続くだろう。