『万寿子さんの庭』◇
『万寿子さんの庭』黒野伸一(くろの しんいち)著
短大を出たばかりの20歳と78歳の友情を描く物語。
京子ちゃんと万寿子(ますこ)さん。
京子が就職を機に住んだアパートのご近所さんが杉田万寿子さん。
年齢の割りに背が高く、植木バサミを片手に庭の手入れに余念が無い。
一人暮らしの万寿子さんが京子に仕掛ける悪戯をきっかけに二人は親密になっていく。
この二人に漂う空気がなんとも好きで
早く読み終えないように何度も立ち止まりながら読んだ。
年の離れた二人は温泉旅行をしたり買い物をしたりプリクラを撮ったり…
祖母、孫に間違えられると「友だちです!」と同時に説明する二人。
二人の関係は素敵だ。
私は友情の物語が好きだ。
現実でも「友情」を感じる場面が多い。
京子は万寿子さんの庭の手入れを手伝う内に植物に詳しくなっていく。
万寿子さんは京子に幼い頃に亡くなった妹の面影をみる。
段々弱っていく万寿子さんを介護する京子。
京子のことも分からなくなっていく万寿子さん。
頭がはっきりしている時に書いていた万寿子さんの手紙を
彼女の訃報を知った京子が読む。
***
竹本京子様
時間がないので、要点だけを書きます。
(中略)
さようなら。
そして最後にステキな思い出を、どうもありがとう。
お元気で、京子ちゃん。
杉田万寿子(この署名の脇に二人で撮ったプリクラが貼られている)
***
この手紙で二人の物語が終わる…
友情の瞬間を閉じ込めたようなプリクラの写真。
二人の表情が見えてくるようだ。
素敵な二人に出会えた♪
時々万寿子さんと京子ちゃんを思い出すだろう…
- 作者: 黒野伸一
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2009/10/06
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