red-earth's blog

(2017.6.25)red-earth’s diary から移行しました。女性ヴォーカル好き、写真好き…

暗唱

妹たちが小学生だった頃、私に詩を覚えさせられた、
今でもその詩を鮮明に思い出せると妹Kが言った。


詩の暗唱を小さな妹たちにさせていたとは
妹Kに言われるまで私は全く思い出しもしなかった。


姉妹間の力関係は早く産まれたというだけで絶対的で 
今では妹たちに命令するなど、とんでもないことだが
早く産まれてきたことが、まだ力を持っていた頃は
長女の私は妹たちに色んな命令をする暴君だったのだ。


小さな妹たちに暗唱させたという詩は
現代中国の詩人、艾青(アイチン)の「石炭のねがい」


妹Kが面白そうに言う…
「意味も分からないのに覚えさせられた」
「あの時、何故、この詩だったのかしら」
「今でもはっきり覚えているものね〜」
「アイチンという響きが可笑しくてね〜」
「最後の3行なんて、おもしろおかしくて、すぐ覚えたわ」


もう一人の妹Kは
暗唱させられた時の部屋の様子が鮮明に浮かんでくるそうだ。


私はと言うと、その詩は覚えているけれど、妹たちに暗唱させていたことは、なんとなくそんなことがあったような…と朧げだ。



私は妹たちに命令ばかりして色んなことをさせていたから
ある時、妹たちが可哀想じゃないのと母に注意されたことがあった。


その時、母にどう答えたのか忘れたけれど
多分、変わらず暴君ぶりを発揮していたのではないだろうか。
小さかった頃の私のやりたい放題が浮かんでくる…



妹たちに暗唱させていた詩、妹Kが思い出させてくれた詩は
『人生の詩集』(江間章子編著、二見書房)の154、155頁に収録されている。


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「石炭のねがい」〜艾青(アイチン)〜


おまえはどこにいるのか?

わたしは万年の山のなかにいる
わたしは万年の岩のなかにいる


おまえのとしは?

わたしはこの山よりもっとふるい
わたしはこの岩よりもっとふるい


おまえはいつから沈黙しているのか?

恐竜が地上の王であったころから
大地がはじめてゆれとどろいたころから


おまえははげしい怒りのなかに
もう死んでしまったのか?


死んで?
ちがう、ちがう、まだ生きている
どうかわたしに火をくれ
火をくれ
火を!
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たまたま17日の夕刊に
艾青(アイチン)の息子の艾未未アイ・ウェイウェイ)の記事があった。


ちょうど妹と艾青(アイチン)の詩について話したすぐ後だったから驚いた。
艾未未アイ・ウェイウェイ)氏の粉ミルク缶2千個による中国の地図を模したアートが、16日夜、香港で披露されたというニュースだった。
彼は毒入り粉ミルクが中国全土を不安に陥れていることをアートで表現している。


日常の会話でアイチンが話題に出ることなど滅多にない。
その同じ日にアイチンの息子の記事を目にするとは!


こういうシンクロは世界は私のものだと見せてくれる。
思い通りの現実が私を取り巻いていることがよく分かる。
私は好奇心いっぱいで、この世界を目撃しに来たのだ。
私が創っている世界を見るのだろうけれど、それは思いのほか楽しい…