蔵の中
実家の蔵の中は面白い。
蔵の中には時が止まったかのような古いものの独特の匂いがある。
蔵の中の照明は、今ではどこにもないような裸電球で
白熱電球の赤い光が陶器の入った木箱などを照らしている。
小さい頃、お仕置きで蔵の中に何度も入れられた私。
天井近くにある明かり取り窓から入る光に埃が舞っているのが見えていた。
蔵の中に入れられて怖かったのは最初だけで
そのうちに慣れてきて面白く感じていた気がする。
父がお婿入りに持って来たという沢山の着物も
蔵の中にしまい込んであるらしい。
今日は雛祭り。
蔵の中には私のお雛様もしまい込んである。
長く飾っていないお雛様は父の実家から贈られたもの。
一度、母と蔵の中の整理をしてみようかと考えている。
昔ながらの裸電球をLED球に変えたら
蔵の中がよく見えて整理もはかどるかもしれない。
蔵の中の灯りを変えるだけで空気も変わるだろう。
意識されずに置いてあるモノたちを明るいところで見てみたくなった…