豊島美術館
豊かな島と書く豊島(てしま)は、
有害産業廃棄物の不法投棄の島として有名だった。
(2000年、香川県が産業廃棄物の撤去を行うことと、知事が住民に対し謝罪したことで一応決着したが、未だに問題は多い)
豊島再生のシンボルとして誕生した豊島美術館は、2010年にオープン。
建築家・西沢立衛とアーティスト・内藤礼がコラボレーションした美術館だ。
瀬戸内海を望む豊島の唐櫃(からと)の小高い丘に建設されている。
棚田、瀬戸内海、周辺の風景を味わいながら明神山の小径を回遊して水滴形のドームに入る。広さ40×60m、最高の高さ4.5mの空間に柱が1本もないコンクリート・シェル構造のドーム。
天井にある2つの開口部から、周囲の風、音、光を内部に直接取り込み、
自然と建物が呼応する。
内部では、一日を通して「泉」が誕生する。
コンクリートの床から水が湧きだして流れているのだ。
この作品名は「母型」
床に横たわって風の音、蝉の声を聞く。
木々が風に揺れる向こうに棚田が広がっているのを見る。
私はいつしか眠っていたようだ。
この「母型」は「自然を受容する器」であり、水やあらゆる自然の生成を通して、地上の生の幸福を静かに実感できる、と説明されていた通り、
私は、慈愛に包まれ豊かで満ち足りて…静かに世界に佇んでいる…
カフェで過ごしてから、また再びドームに入る。
それを何度か繰り返した。
ここは、多分、私が再生する場所だ。