高熱

義父が、また高熱を出したらしい。
もう熱が下がったから温泉には行けると思うと義母は言う。
義父自身が行きたいのだろうと思う。

夫は、日を改めたらどうかと言うが、たぶん義父は、次に予定を組むには自分の体調はもっと難しくなると解っているのだ。
だから今週、息子夫婦と行く温泉を少々熱を出しても行きたいのだと思う。

琵琶湖畔の温泉までは夫の家から近い。
私も、予定通りに連れて行ってあげたほうがいいと思う。

美味しい食事を楽しんだらいい。
温泉には、無理して浸かることもない。
湖の見える部屋で、ほっこり過ごしたらいい。

義父はよく高熱を出すようになった。
体をコントロールする機能が落ちてきているのだろう。

温泉に行く予定を立ててからでも何度も高熱を出しているが
そのたびに行きたい気持ちを確認しているように思える。

高熱は、体力が落ちるし体には辛いが、
「悪いことばかりでもないそうですよ、お義父さん！」と話したことがある。
「がん細胞などは高熱で死滅するらしいですよ、
熱を出したら体が軽くなるでしょう…体のリセットみたいなものですよ」

これを聞いた義父は、半信半疑ながらも少し嬉しそうだった。

高熱も必要があってのことなのだろう。
きっと無駄なことなど何もないのだ…
ベランダでレモンマートルを撮りながら思った。

（レモンマートル、まるで真珠の花のよう）

（レモンマートル、可憐な花の群れ）