萩尾望都(はぎお もと)
義父が『バガボンド』を読んでしまったというので
次に何か適当なコミックがないかと探していたら
奥から萩尾望都の『マージナル』と『百億の昼と千億の夜』が出てきた。
数年前に萩尾望都のコミック本の殆んどを手放したはずだったが
この2タイトルだけは残していたようだ。
このふたつには手放せない何かがあったのだろうか?
(覚えていない…)
義父の好みではないだろうけれど
馴染んでいる世界と違う分野に触れるのも新しい経験で面白いだろう。
義父に貸すまでに私も久しぶりに読んでみることにした。
『マージナル』から読んだ。
marginalとは「不毛の、最果て、辺境」などの意味。
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marginal 【形容詞】 辺境の、周辺部の、縁にある、末端の、ぎりぎりの。二つの社会・文化に属するが、どちらにも十分には同化していない、境界的な、という意味を持つ(研究社『リーダーズ英和辞典』より)。
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女性が存在しない「不毛の世界」が舞台の『マージナル』
『マージナル』で、印象深く覚えていたのは
聖者たちが歩く場面、シャン、シャンと鈴が鳴る…
聖者たちは砂漠を彷徨った果てに都市に来る…
話の主題ではない場面だけをしっかり記憶していたことに苦笑しながら読んだ。物語は西暦2999年、地球は生殖能力をなくした男だけの短命種が住む不毛の星となっている。地球の監視をするマージナルプロジェクト、住民を監視し洗脳している。
いくつかの巨大ドーム都市がある。
それぞれの住民は、別のドーム都市があることを知らない。
たった一人の女性、聖母・マザはセンターと呼ばれる建物に住んで、砂漠に点在する村や都市に子どもを産み与えるとされている。
地球は壮大な実験場になっている。
月や火星に住む者からすれば、プロジェクトのひとつなのだが
ドーム型都市に住む人たちにとっては、そこだけが世界のすべて。
市民に子どもを与えてくれる一人の女性を崇めさせるのは
住民たちを操る手段、宗教的手法、
欲しがるものを与えて、本当のことは知らせない。
こんな「不毛」の地球を甦らせる遺伝子を持った「キラ」が現れた。
彼(彼女)は「夢の子ども」
地球で受胎できる唯一の人間。
(科学者夫婦が管理社会を逃れて作った子ども達がキラなのだ)
最後の場面は胸を打たれる。
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地球を甦らせる脈動だ、
聞こえないか、
キラが呼びさました生への律動、
キラの遺伝子には不妊のD因子を不活性化させる要素があるらしいが…
まさかキラが、それを地球規模で…?
夢の子どもが地球と同じ夢を見たんだ…
深い意識のそこで…?
生命(いのち)の波よせる意識のおくそこで…?
生命(いのち)はみな同じ夢をみているのだろうか…?
星々もまた…?
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次の『百億の昼と千億の夜』を読む前に
『マージナル』続きで田口ランディ著『マアジナル』を読み始めようかと積んである本から取り出した。
積んでいる本の山は、そのうちに読むつもりで置いているのだが、発行日を見ると『マアジナル』は半年近く置いていたことになる。
ほんの一ヶ月程度の感覚なので半年とは驚いた。
『マアジナル』は400ページ近い長編。
田口ランディの本も、新刊が出るとつい買ってしまう。
積んでおく位なら文庫になるのを待ってみたらどうだろう…
「マージナル」と「マアジナル」と。
一字違うだけなのに、印象は大きく変わる。
「マアジナル」を「まあじなる」と私は何故か平仮名で思っていた。
平仮名の語感に感じたのだろうか、
頭の中では「まあじなる」なのは面白いことだ。
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