red-earth's blog

(2017.6.25)red-earth’s diary から移行しました。女性ヴォーカル好き、写真好き…

日本語

映画「おかあさん」
田中絹代主演、成瀬巳喜男監督、1952年公開、
日曜日の夜、放映があったのでタイトルに惹かれて観てみた。


登場人物の話す言葉の美しいことに驚いた。
なんと美しい日本語だろうかと、その響きに聴き入ってしまった。


話すテンポはゆったりとしていて、
言葉のひとつひとつの語尾までが丁寧に発音され、
発せられるどの言葉にも命が宿っているような…
そして所作も美しく、折り目正しく、お辞儀ひとつにも見入ってしまう。


1952年、60年前の市井の人々の使う日本語の美しさに感じ入ってしまった。
川崎市にあった向ヶ丘遊園に遊びに行く場面があったから、正確には東京や東京郊外に住む人々が使う日本語の美しさと言うべきかもしれない。


言葉が変わっていくのは時代の流れと使う人たちの精神性の変化故のことだろう。同じところに留まったままの物事はないのだから、映画を通じて、この美しい日本語に触れることができたのは嬉しいことだった。


映画の中でペンジュラムが使われる場面があった。
戦争に行った息子の生死が分からないままの夫婦、
母親が息子の写真の上で、5円玉に紐をつけたペンジュラムをかざして
それが動いたら「やっぱり、生きているんですよ」と言う。
父親に「そんなの迷信だ」「お前が動かしているのだろう」等と言われながら、再び写真の上に5円玉のペンジュラムを持っていく…
ここにも「おかあさん」がいる。


十数年前に何かの勉強会に行った時、
映画と同じ5円玉に紐をつけたペンジュラムで使い方の練習があったのを
その場面をみて思い出した。あれは、何の勉強会だったのだろう???
内容は全く覚えていないけれど、真っ新でピカピカの5円玉と赤い紐の揺れる様だけが鮮明に思い出されて、なんとなく可笑しかった。