red-earth's blog

(2017.6.25)red-earth’s diary から移行しました。女性ヴォーカル好き、写真好き…

『阪急電車』◇

阪急電車
有川 浩(ありかわ ひろ)著。


阪急今津線西宮北口駅宝塚駅間で繰り広げられる物語。


8つの駅の所要時間わずか15分、
それぞれの駅で8つの物語が始まる。

その1往復で16話の連作集。
折り返しの8話は半年後の彼らの物語。


西宮北口門戸厄神―甲東園―仁川―小林―逆瀬川―宝塚南口―宝塚



この8つの駅で乗降する、たまたま乗り合わせる人たち、

それぞれの登場人物が少しずつ交差して物語が進行する。


軸にあるのが「まっとうな」考え方、生き方。


結婚式に花嫁さながらの白いドレスで出席して
新郎新婦を呪ってきた翔子に
花嫁さんだ、と歓声をあげる孫娘を連れた時江は言う…

*****
「討ち入りは成功したの?」

………

「いい根性だわ」

………

「これは通りすがりの野次馬の無責任な忠告だから、話半分でお聞きなさい」

………

「でも、気が済んだところでできれば会社を辞めなさい」
*****


見知らぬ人の会話が耳に入ってきてその内容に助けられる人、
隣り合わせた乗客から言われた言葉でハッと我に帰る人、
「恋が始まるその瞬間」の二人をたまたま目撃して
ほんわかした気分になる人や…


痛快な会話が多く
その後の彼らの物語まで読んでみたくなる。


西宮北口門戸厄神―甲東園―仁川―小林―逆瀬川―宝塚南口―宝塚
この電車に乗って車窓をぼんやり眺めたい気分にもなる。


作者、有川浩今津線沿線に住んでいる。


あとがきに彼女は書いている。
今津線の沿線には未だに住んでいます。
相変わらず使い勝手のいい街です。」


私は阪急京都線神戸線には乗っても今津線は覚えていない。
宝塚に行ったこともあるから乗っているはずと思うが…


来月から少し、神戸方面に出かける用事があるので
折を見て、その使い勝手のいい街を散策してみようかと思っている。


片道15分、
途中下車したり…
行きずりの人に励まされたり…



それぞれの物語を生きている私たちは
毎日、あちこちで交差する人たちに
どれだけ救われたり、励まされたりすることだろう!!!



阪急電車


爽やかで
痛快で
清々しい
いい本だった。


阪急電車 (幻冬舎文庫)

阪急電車 (幻冬舎文庫)