red-earth's blog

(2017.6.25)red-earth’s diary から移行しました。女性ヴォーカル好き、写真好き…

『イムリ』◇

三宅乱丈の描くマンガイムリ
今も『コミックビーム』に連載中だ。


壮大なファンタジー『イムリ
面白すぎる!


私は時々月刊誌の『コミックビーム』を買うけれど
やはり一気に読むほうが好きだ。
コミックスでは今8冊出ている。
先日、一日中『イムリ』に浸っていた。


三宅乱丈、みやけ らんじょう、
名前からはすぐに分からないが女性漫画家。
(本名があまりにも女性っぽいから、このペンネームになったとか)


私はコミックスの第1巻が出た時に本屋さんで見て
そのタイトルだけで買ったのだった。


面白そうな物語には鼻が利くほうで

本屋さんをウロウロとしていると胸躍り心騒ぐ物語によく出会う。


イムリ』もそんな物語。


タイトルの「イムリ」はルーン星の原住民のこと。
この物語はルーンとマージというふたつの星が舞台。


マージ星にはカーマの民、イコルの民が住む。
イムリの民はルーン星に住んでいる。


三宅乱丈は『イムリ』を描くにあたって
ルーン星とマージ星、カーマとイムリ、イコル…
その世界観、哲学、風習、地理、それぞれの民の持つ不思議な力…
その歴史の過去6000年の年表を細かく設定したそうだ。



第1巻の背表紙には次のように書かれている。
*****


遙かなる太古―。長く激しい戦争によって、その星は凍結した。
星の名はルーン。凍らせたのは「カーマ」の民。
戦後、カーマの民は、ルーンの隣星であるマージへと移り住み、「賢者」と呼ばれる最高権力者を頂点とし、奴隷民「イコル」を最下層とする階級社会を形成、四千年もの歴史を積み重ねていた。

四千年。それは、過去の戦争の記憶と意味を風化させるのに、充分すぎる歳月だった。


ようやくルーンの氷が溶け始めた今、カーマの民は、故郷であるルーンへの帰還を始める。かつてのカーマの敵であり、そしてその事実を忘却した「イムリ」の民の棲む、すべての母なる星ルーンへと―。


*****



作者、三宅乱丈はインタビューで次のように語っている。


*****
おおまかなあらすじを少しだけ言うと「一つの民族が他者を支配しようとしている。そんな世界に疑問を抱いた一人の青年が格闘しながら成長していく壮大なSFファンタジー」それが『イムリ』です。「自由とその代償がテーマです」
*****



この物語で使われる独特のことばが面白い。
そのことばで表される概念が興味深い。


光彩、彩輪、侵犯術、誘導、促迫、命令、
共鳴術、摘出、適合、共鳴、浄化…


カーマの支配体系を支える「侵犯術」は他者の精神をコントロールする力。
これを駆使してカーマはイムリとイコルを操っている。


呪術を日常的に使う世界が描かれる。


イムリの民がとても神秘的で魅力的。
彼らは必ず双子で生まれる、そして寝ている時に互いの夢を見る。
遠く離れていても夢で繋がっている。
夢見の力を持っている。


そして木・石・土・金などから不思議な力を取り出すことができるイムリ
カーマの支配層が使うのもイムリと同じ力のようだが、
カーマはその力を人の心を操るためだけに特化させてきた。


元々同じ力なのに、二つの民は全く正反対の使い方をしてきたのだった…
向いている方向が全く逆なのだ。
目指す方向の違いがイムリの力のほうが強い理由のように感じられる。
だからこそカーマはイムリを操ってねじ伏せようとあがく。
イムリの持つ力を恐れるからコントロールしようとする…


読めば読むほど描かれている異世界に夢中になってしまう。
何度でも読み返したくなる魅力に溢れている。


この物語がまだ続いていることが嬉しい。
正統派ファンタジーの紡ぎ手、三宅乱丈の『イムリ』から目が離せない…


イムリ 1巻 (BEAM COMIX)

イムリ 1巻 (BEAM COMIX)

イムリ 8 (ビームコミックス)

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