言葉の持つ力
彼の訃報を告げるニュースで紹介されていた。
「むずかしいことをやさしく、
やさしいことをふかく、
ふかいことをおもしろく、
おもしろいことをまじめに、
まじめなことをゆかいに、
そしてゆかいなことはあくまでゆかいに」
(井上ひさし)
***天声人語(4月13日)より引用。
………言葉の持つ力をとことん信じた人だった。
戯曲を一つ仕上げると体の肉がげっそり落ちたという。
平易な一語一語に最大の力を宿らせるための、
命を削るような闘いだったのだろう。………
***
彼の「ことば」と向き合う姿に打たれる。
今、ブログやツイッターなどにも「ことば」が溢れている。
私もブログでつらつらと書いているわけだが
(ツイッターは登録しただけで、まだつぶやいていない)
ブログは個人的なものでありながら
公開している以上は個人の範囲に留まらない。
発した「ことば」が伝わらないことも多い。
書き手と読み手の波長が違い過ぎると伝わらないのか、
人は読みたいようにしか読まない(読めない)からなのか、
(私自身も私のレベルでしか読めないし理解できないと思う…)
文章には書いた人の感情が乗っていて
その人となりを知らなくても、その言葉から波動で伝わってくる。
仮に全く同じ内容が書いてあっても
両極端に感じられる文章もある。
私は、読める人と読めない人が最近はっきりしてきた。
目の前にあっても見えない(読めない)ことがある。
言葉は
それを使う人をさらけ出してしまう。
「ことば」を発することは自分を露呈すること。
言葉自体が持つ力は「言霊」と表現されるほど力強いものであるから
それを曇らせずに伝えられる自分でありたいと思う。
「むずかしいことをやさしく、
やさしいことをふかく、
ふかいことをゆかいに、
ゆかいなことをまじめに書く」(井上ひさし)
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