red-earth's blog

(2017.6.25)red-earth’s diary から移行しました。女性ヴォーカル好き、写真好き…

『イティハーサ』◇

イティハーサ』水樹和佳(子) のSFマンガ。


1986年の連載開始から13年を経て物語は終了した。(一応)


私は水樹和佳ファンだったから連載中から時々読んでいた。
私の中では何度か『イティハーサ』のブームがあって
その時々に周りにいた友達、知人などを巻き込んでいた。



ここ数日、Deva Premal(デヴァ・プレマール)や
CRIMSON Collection (クリムゾン・コレクション)の

マントラ・ソングを聴いていたら

イティハーサ』の世界が鮮やかに思い浮かんできた♪


この作品は約1万2千年前の古代日本を舞台にした壮大な物語。
登場人物たちには魅了され続けているし、
多くの場面が印象的で心に残っている。


あまりにも好きな物語なので書きたいことが多過ぎて…
なかなか、書き始められなかったのだが


マントラ真言告(まことのり)、言霊…
思い浮かんできて消えない多くの場面がある…


少しずつ書き始めよう。



物語の冒頭はマントラを唱えて大きな石を持ち上げている場面。


ここではマントラを唱えることを真言告(まことのり)と表現している。


青比古(あおひこ)が鷹野(たかや)に 真言告の微妙な音程と発声を指導している。


青比古が鷹野に言う
「おまえは今 自分の力でこの石を持ち上げようとしただろう!!
石が動くのは おまえの意思だが おまえの力じゃない!!
石自身が持っている力だ!!
石の波動に おまえが合わせるのだ!!その為の真言告だ!!
真言告は目に見えぬ神々から さずかった神聖な知恵だ。
生半可な気持ちで念ずれば今のように死につながることだってある!!」


言霊の幸ふ国と言われる日本の原型をみるような場面だ。



鷹野は赤ん坊を拾って透祜(とおこ)と名づけ妹のように可愛がる。

この透祜が物語の主人公で、彼女を軸に物語は進む。


魅力的な登場人物たちの中で

私は青比古に惹かれ続けている。
他にも素敵な人は出てくるが青比古は別格なのだ。


彼の容貌、眼差し、その声…


その声といえば、何度目かのマイブームだった時
同じく青比古に惹かれている友達と話していて

「そうなのよ、あの声も素敵で…」と会話していたことに
後で気付いたことがあった。


私も彼女(確かKさん)も『イティハーサ』の中の誰の声も
もちろん青比古の声も
実際には聞いていないにも関わらず、


この物語に入り込んでしまうと
登場人物たちの声が鮮やかに聞こえてしまうのだった。



目に見えぬ神々と目に見える神。
(青比古、鷹野、透祜は目に見えぬ神々を信奉する部族であった。)


さらに
目に見える神は平和的な亞神と争いを好む威神とに分かれていて


これらの神々をそれぞれ信奉する人々の三つ巴の生き方が交錯していく。


目に見える神である亞神とその信徒たちの関わり方は
宗教団体とその信者たちを彷彿とさせる。

亞神の結界内で人々は幸せに暮せるのだという。
そのあたりの微妙な感じが
以前よく話をした、ある宗教の信者だった友人を思い出す。


彼女はよく言っていた「私は悪いことはしていないんです。
家族の幸せを願って祈っていて、さらには世界平和を祈っているんです。」


うまく言えないが
悪いことではないという括り方に違和感があった。
自分は間違ってはいないのだ、という意識に違和感があった。


そのうちにお付き合いもなくなってしまったが、
亞神の結界の中で守られる場面は…その彼女を思い出した。


どんな生き方もその人の自由だから
彼女がどうというわけではない。


ただ私に少しの違和感があったというだけの話である。
私は正しい、という意識が強すぎる彼女と付き合い続けられなかったというだけの話だ。


「見える神」か「見えない神」か、
どの神を信奉するのかは、どこか象徴的に思える…



争いを好む威神が人々を魅入る方法は、人の心の暗い部分に働きかける。
恐怖や不満などを表に出して、増幅して快楽に結びつけて洗脳する。


この威神に魅入られる人たちのことも決してひとごとではない。
自分が何に対して感情的になるのか、日々観察して自覚していたいと思う。



イティハーサ
読むたびに新たな感動や気づきが得られる物語だ!!!


その時々の自分の波動・段階のままに読むのだろう。
何度読んでも新しい物語だ。



先日、赤い鳥居と桜の花がよく似合うと思って写真を眺めていたが
その時も『イティハーサ』の場面が思い浮かんできた。


物語の冒頭で鳥居も印象的な登場をするのだ。


目に見えぬ神々が鳥の形をした浮き舟で各地に天降りた時に
赤い門を建てたから


その門を「鳥居」と呼んだ人々(目に見えない神々を信奉する人々)は
その鳥居から
さまざまな知恵やご神宝を授かったのだった。


鳥居は目に見えぬ神々の通路の門だった。


後に威神もさらった子どもを連れ去るのに鳥居を使っている。


威神に邑(むら)を焼かれ、人々もいなくなり…
雪の降る季節が来て


「赤い鳥居だけが目に見える…一切が雪の下だ…
赤い鳥居だけが見える…

悠久の時の流れの中 おそらくは一切が風化し…
ただ赤い鳥居だけが残る…
何も語らず…」


青比古の見た鳥居のある風景。


赤い鳥居
白い雪
青い空


遠い昔、私もみた気がしてならない…



イティハーサ」はサンスクリット語
インドの吟遊詩人が叙事詩や年代記を語る最初の言葉だとか。

「それはこのようにして」という意味の語り始めのことば。 
日本昔話風では「昔々のことじゃった」
英語で言うと「once upon a time」


イティハーサと語り始められる壮大な物語は今も続いている…(と思う)


印象に残る場面を少しずつ書いていくかもしれない。
多分、なにかとの連想で思い浮かんだ場面について書くと思う。

イティハーサ (1) (ハヤカワ文庫 JA (639))

イティハーサ (1) (ハヤカワ文庫 JA (639))

イティハーサ (7) (ハヤカワ文庫 JA (651))

イティハーサ (7) (ハヤカワ文庫 JA (651))