red-earth's blog

(2017.6.25)red-earth’s diary から移行しました。女性ヴォーカル好き、写真好き…

「曲がれ!スプーン」

Sちゃんと観た芝居は
ヨーロッパ企画曲がれ!スプーン


大阪のABCホールのこじんまりとした空間は
舞台と座席が一体となれるような距離感だった。


映画化もされた「曲がれ!スプーン」は
元々ヨーロッパ企画の「冬のユリゲラー」というタイトルの芝居だったとか。



舞台は喫茶店「カフェ・ド・念力」


このネーミングからして冴えない感じが漂ってくるし
うら寂れた雰囲気をかもし出していて笑ってしまった。


その喫茶店に集まるのは様々な超能力を持ったエスパーたち。
彼らが、それぞれの持つ「力」を仲間同士で披露しあうパーティーが開かれる。


可笑しいのは
それぞれの持つ力が、結構貧弱なことだ。


あるにはあるのだが
エスパーと呼ぶにはちょっとどうかな、というレベルの彼らでも
世間には自分たちの「力」「能力」を必死に隠している。


彼らが集う喫茶店「カフェ・ド・念力」にエスパーではない男がやってくる。
その男、神田に皆の秘密を知られ、ドタバタ劇が始まるのだが…


そのあたりが妙に面白い。


喫茶店のマスターが居るカウンターの中の棚には
コーヒーカップの側に
さりげなく雑誌『ムー』が置いてあって…
他にも曼荼羅や水晶や仏像や…
超能力好きマスターの趣味そのままのグッズが雑然とある棚には
笑いながらも私は妙に親近感を感じるのだった。


超常現象番組のAD・桜井 米(よね)が、神田を取材にやってきて
そこから始まるドタバタも面白い。


そのドタバタは
彼女の名前が米であることから始まる。
読み方は何でも構わないのだが
使う漢字は「米」でなくてはならない。
「米」でなくては、その話にはならない。


ネタばれ…


そのAD・桜井 米(よね)が喫茶店に来る前の取材で
毒蜘蛛のトラブルがあったことを話した。
取材した人が救急車で運ばれたという話だった。


透視能力を持つエスパーが彼女を透視したら
なんと
その毒蜘蛛が彼女のジャケットに紛れ込んでいるのが見えた。
内ポケットの名刺入れに紛れ込んでいるのが見えた。
(何故、彼女の上半身を透視してみたかは、さておき…)


能力を隠す彼らは彼女に「力」を知られることなく
なんとか毒蜘蛛を取り除こうと奮闘するのだった。
彼女を毒蜘蛛の脅威から守ろうと皆が力を合わせて頑張るのだった。


ドタバタの果てに
ようやく毒蜘蛛を捕獲!
したはずだった…


が、
それは彼女の名刺「桜井 米」の漢字「米」が
蜘蛛に見えたというお話なのだった…


妙に可笑しく微笑ましい話「曲がれ!スプーン


いい舞台だった。
いい芝居だった。


初めてヨーロッパ企画の芝居を観た。
地味な感じの集団に見えたが、
絶妙な会話劇に、はまってしまった。


誰か一人が突出しているわけではない。
主役が誰なのかも分からない。


超能力を持つ人たちという設定は非日常的だが
ここでは
誰でも持っているようなレベルの能力に見えるから
日常的な話の設定ともいえる。


私はこんなどこにでも居るような人たちの話が好きだ。


エスパーが登場する物語がどこにでもある話に見えるのは
私だけだろうか…


ヨーロッパ企画のサイト)
http://www.europe-kikaku.com/index.htm