red-earth's blog

(2017.6.25)red-earth’s diary から移行しました。女性ヴォーカル好き、写真好き…

『父・藤沢周平との暮し』◇

今日の気功教室でKさんに借りた本、
『父・藤沢周平との暮し』遠藤展子著


私は藤沢周平を読んだことはない。
もちろん本屋さんでその本を目にしたことはあるし
映画化やドラマ化された作品を観たこともある。


彼の写真を何かの雑誌で見たこともあるから
その顔も知っていた。


私の印象は「どこか太宰治に似た感じの作家」というものだった。
(よく見れば違うのだが、見た瞬間に感じたことは
いつまでも心に残っている)


Kさんは読書の幅の広い人だ。
彼女に教えてもらう本は

自分では
まず、手に取ってみないだろう本なので
今日借りた本も興味津々で読み始めた。


藤沢周平のひとり娘である著者が
思い出を語るのだが、


その描写に藤沢周平との生活が活き活きと息づいている…


彼女は生母を生後8ヶ月で病気で亡くしている。
父と娘の一所懸命な日々の暮し、
とりわけ父親の娘への愛情に胸を打たれる。


彼女が小学校に上がる直前に藤沢は再婚する。


父と娘の暮しに安心(妻、母)が加わって
さらに充実したものになっていく。


昭和40年代の
つつましやかな暮しにも
考えさせるものがあったけれど


それ以上に
私にとって印象的だったのは
藤沢周平その人だ。


彼の書く小説には英雄は出てこないらしい。


彼は
「無名の人の中にどういうドラマがあるのかに興味を引かれる、
有名な人のドラマを追うよりも、かえって名もない人が何を考えているかの方に
気持ちがひかれるのです」とインタビューに答えていた。


彼自身も
有名作家でありながら
実直そのものの人柄であったようだ。
財産・資産には全く興味がなく…


「父は、自分の家を、それも一軒家を所有することに
違和感を感じ続けていたようです。奇妙な気持ちだと言っていました。」


私は
無性に彼の作品を読みたくなった。


早速注文をしたのは
『橋ものがたり』
『龍を見た男』
『春秋山伏記』


市井の人たちを淡々と描くであろう彼の作品に触れてみたいと思った。


父・藤沢周平との暮し (新潮文庫)

父・藤沢周平との暮し (新潮文庫)

橋ものがたり (新潮文庫)

橋ものがたり (新潮文庫)