『王国 その1 アンドロメダ・ハイツ』◇
よしもとばななの『王国』3部作の1冊目。
雫石(しずくいし)…
サボテンからとった名前を持つ女の子のお話。
おばあちゃんとの山の生活が
それからの彼女の
生きる感覚の基礎となっている。
全てを抜粋したいくらい
どのページも
抱きしめたいほどの珠玉の言葉に
あふれている。
本当に好きな好きな物語だ!!!
山で薬草を摘んでお茶を作っていたおばあちゃんを
手伝っていた雫石。
おばあちゃんのお茶は人気があって遠くからでも
買い求める人たちがやってきた。
おばあちゃんが雫石にいつも言っていたのは…
引用*****
自分が何かしてあげている気になったときがおしまいのときだ、と
おばあちゃんはいつも言っていた。
「神様が、何かをしたくてもあっちには言葉がないから伝えられないでしょう?
だから、私みたいな人が代理で働いているだけで、
私が何かをしているわけではないんだよ。
そしてすべての仕事は本来そういうものなんだよ。」
*****引用終わり。
山が壊されて
今まで通りの薬草茶が作れなくなって
おばあちゃんと雫石は山を降りることになった。
山を壊してしまう人たちに納得のいかない雫石に
おばあちゃんは言う。
引用*****
「ずっと変わらない生活なんて全然面白くないよ。」
中略
「それにいつかきっと大きな意味で、うまくいく日も来るよ。
人のいるところには必ず最低のものと同時に最高のものもあるの。
憎むことにエネルギーを無駄使いしてはいけない。
最高のものを探し続けなさい。
流れに身をまかせて、謙虚でいなさい。
そして、山に教わったことを大切にして、
いつでも人々を助けなさい。
憎しみは、無差別に雫石の細胞までも傷つけてしまう。」
*****引用終わり。
雫石はおばあちゃんと離れ
ひとり街で暮らし始める。
これは
大きなものに
守られている
女の子の物語。
珠玉の言葉がちりばめられた物語『王国』は続く。
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