おしとやかに

梅小路の市電広場は
かつて京都市内を走っていた市電が展示されていて
カフェとして使われている車両もあった。

そのカフェに「車内ではおしとやかに」と注意書きが貼ってある。
「静かに」と書いてあるのはよくあるが
「おしとやかに」とは、初めて見た気がする。

私も「おしとやかに」ソフトクリームを食べてコーヒーを飲んで…
古い市電のカフェは、ほっこり落ち着くのだった。

隣の女性二人の話が聞くともなく聞えてきた。
生きる意味とか価値観について、静かに淡々と語る口調が
モノゴトを深く考えて来た人のそれで…

車内には私と、その二人連れだけだったが
その人の語り声と口調は、ある種のセッションのような
サウンドヒーリングと言ってもいいような…
連れの人の相槌も、いい塩梅に入って…

市電カフェでの時間は
この電車が走っていた時代にタイムスリップしたように
ゆったりと過ぎていった。