コンデジ
先日、実家でコンデジ(コンパクトデジカメ)を使おうとしたら全く反応しなかった。同じ日に京都駅では撮れたのに急に故障するとは?!
相当使いこんでいるコンデジなので多少の不具合はあったが
全く動かなくなるとは?!
母が父の使っていたコンデジを使えばいいと出してくれた。
母は自分用のコンデジを持っているので
私が、父の使っていたコンデジをもらい受けた。
父はパソコンもケイタイもカメラも…色々楽しんでいた。
次々に画素数の大きな機種が出るから数年に一度、新しくしていたが
父の最後のコンデジは多分2〜3年前のもので
そのコンパクトさがお気に入りで、いつも持ち歩いていた。
手の平に納まりそうな小さなデジタルカメラで何気ない日常を撮っていた父。
カメラの中に入っていたSDカードを見てみたら、
父が最後に撮った数枚が残されていた。
家の玄関先で知り合いが脚立に乗って何か作業しているのが写っていた。
その日付けは、2012年10月19日。
写真をパソコンに入れてCDに焼いてとマメに整理していた父らしく
この日以前の画像はカードには残っていない。
2012年10月19日以降、父はカメラを触らなかったのだ。
もう触れなかったのだ。
父がファインダー越しに見た最後の光景は
10月とは思えないほどの底抜けに明るい快晴の日の真っ青な空と、
燦々と光が差し込む我が家の玄関と、
いつも親身に父や母のことを気にかけてくれる弟のようなNちゃんと。
図らずもコンデジの中に父が残した画像は
父がいつまでも見ていたい光景だったのだろう。
SDカードに残された画像に亡くなる3ヶ月前の父の視線を感じていたら
本当に居なくなってしまったのだと、父の不在が何故か急に現実感を伴って胸に迫ってきた。
父はまだ私の夢には現れないけれど
父のコンデジは、父の見た光景を見せてくれた…