19歳
今日、歯医者さんの予約時間より早めに着いてしまったので
本屋さんで文庫本を買ってから歯科医院に入った。
「現代のフリーターと、太平洋戦争末期の軍国青年が入れ替わった!」
「未来を知る者と、過去を知る者。ふたりの『19歳』を通して描く、あの時代、あの戦争」という帯に惹かれたのだ。
読み始めてすぐ、
待合室に入って来た女性が受付の人に話している声が聞こえてきた。
その年配の女性は、彼女の兄と母親の写真を受付の女の子に見せているようだった。19歳で戦争に行ったまま、生きて帰らなかったという彼女の長兄のことを話している。
「優しい目ですね、まだ幼い顔で銃を持っているんですね、
絵のような綺麗な写真ですね」
「隊長さんが撮ってくれはったらしいのよ…」
受付の女の子は写真を熱心に見ているようだった。
読み始めたばかりの本『僕たちの戦争』と、
聞こえてきた話の中の「太平洋戦争、19歳」のシンクロ…
時代を超えたサインのような気がした。
多分、今日は想いを馳せる日なのだ、
その時代に、19歳に。
彼らが居て今があることに。