ドラマ
M先生の写真の講評にはA4サイズで5枚持っていく。
今回は夏の海と人の写真を見てもらった。
これらの写真は、たまたま遭遇した瞬間を撮っているのだが、もっとドラマが欲しいと言われた。
作品として見るには被写体に力が必要だということなのだ。
Mせんせいは「スナップではなくて作品」という言い方をされた。
スナップは、ただ写しただけという意味合いで言われているようだ。
私は先生が言う「作品」を撮ろうという意識が希薄だと思う。
たまたま出合った場面を切り取ったスナップ写真には
その人、その場所の一瞬の真実が写っている。
そんな「ありのまま」が好きなのだ。
先生の言う「ドラマ」のあるなしは
写し撮られたその瞬間に、どれだけの価値が見出せるかということだろう。
例えば恋人同士が海を眺めている写真は
手をつなぐ初々しい二人の雰囲気がいいなと思って撮ったが、
もっと男と女の深い関係性がイメージできるような、ドラマを感じさせる二人だと良かったという先生の講評だった。
(モデルにポーズをつけて撮るのではないから
そういう被写体に出会うかどうかは偶然に左右されるわけだけど)
写真に深みと広がりがあるかどうかなのだろうな…
それは生き方に深みと広がりがあるかどうかと同じことなのだろうな…と先生の講評を聞きながら、ぼんやり思っていた。