ポン!
昨日、バラ公園に行くのに乗った新快速電車、
私の隣に息を切らして座ってきたご婦人がいた。
彼女は座るなり、バッグからペットボトルを取り出し蓋を開けた。
「ポン!」
威勢よく中身が噴きだして私のほうにまで飛んできた。
開けた彼女自身が一番驚いているだろうけれど
私は「ポン!」という音に「えっ?」と隣を見た。
「炭酸系ですか?走って来られたからでしょうね。」と私。
「すみません。お洋服、大丈夫でしょうか?」と彼女。
「洋服は、すぐに乾くから大丈夫ですよ」と答えながら
私は、心の中で「お祝いの音みたいだな」と思っていた。
「ポン!」
お祝いのときのシャンパンを抜く音のようだった。
確か、この音が「悪魔を払う音」と言われて
そこからシャンパンは「お祝いの酒」となったと聞いたことがある。
これは、私に向けたサインだったのだ。
なにかを祝う音だったのだ。
なにかは分からないけれど、祝福された感覚は確かにある。
シャンパンで乾杯!とでもいうように
「ポン!」
私はニヤニヤしながら電車を降りた。
私が電車を降りる際も恐縮しきりの彼女は、再度「すみません!」と言い、
私も再度「いえいえ、大丈夫ですよ」と答え、
電車に乗り合せて「ポン!」とお祝いの音を出してくれた人を見た。
束の間の面白い出会いだった。