披露宴
いとこのIちゃんの披露宴は新郎新婦をよく知っている人たちの
和気あいあいとした素晴らしいものだった。
新郎新婦の両親の仕事関係からの出席者は無い。
祝福するのは親族と友人と二人の会社の人たち。
新郎新婦とも華麗な学歴だけれど、そんな学歴の紹介もない。
新婦のIちゃんはお色直しもしない。
白く綺麗なドレスだから長く着ていたい、と言って
ヘアスタイルを少し変えただけだった。
堅苦しい挨拶も、もちろんない。
こんなふうな素直な披露宴には、爽やかな風が吹き抜けていた。
見栄とか体裁などとは無縁の気持ち良い披露宴。
祝う人たちの輪の中で新郎新婦は笑顔が弾けていた。
以前、親の力を示す披露宴に行ったことがある。
その披露宴では、あちらこちらに自慢が見え隠れする。
自慢であるとは分からないこともあった。
羨ましく思う者がいるから自慢は成り立つのだが
そのあたりが分かっていないのだろうな、と思う披露宴だった。
親の力を示す披露宴は新郎新婦にも辛いかもしれないな、などと
数年前の披露宴のことを思い出してしまった。
ありのままで自然体の披露宴はIちゃんの生き方そのものだろう。
いい披露宴だった。
