『世界でいちばん美しい景色のはなし』◇
『世界でいちばん美しい景色のはなし』
中村しげき著。
画/清水麻里。
「ぼく、うまれた日にあったこと、しっているよ」
この「ぼく」が主人公。
彼が生まれた日、
*****(抜粋)
ちょうど、僕がお腹から出てきたとき、
海辺に座っていた男の子の前で、
イルカがジャンプしました。
サラリーマンが、虹を追いかけて駆け出しました。
ある殺人犯が、牢獄の中で聖書を読みきりました。
爆撃を命令した大統領が、
その命令を取り消しました。
盲目の女の子が、
移植手術で、光を取りもどしました。
旅の女性が、砂漠に花を植えました。
干ばつの村で、雨が降りだしました。
ある大金持ちが全財産を投じて
遊園地をつくり始めました。
*****(抜粋終わり)
「ぼく」は成長して旅に出る。
彼は旅先で考える。
「…旅とは、
どこか知らないところへ行くことのようで、
じつは、記憶のどこかにある景色を
さがしにいくことなのかもしれません。」
彼が生まれた日にあった出来事が
その後の彼の人生と繋がっていく物語。
これは世界が繋がっていることを思い出させてくれる物語。
世界はまさに
この物語の冒頭に書いてある次のことば通りなのだろう。
「ひとつの花に話しかけるだけで、
世界中の花に話しかけたことになる。」
多分、繋がった世界では、どんな想いも共有しているのだ。
1月17日に本棚から取り出した本は
『世界でいちばん美しい景色のはなし』
美しい物語だった。
- 作者: 中村しげき
- 出版社/メーカー: ホノカ社
- 発売日: 2006/06
- メディア: 単行本
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