「その肌、ずるい」
化粧品のキャッチコピーに「その肌、ずるい」というのがある。
(以前「その唇、ずるい」というのもあった気がする…)
その化粧品を使った人が「その肌ずるい、とよく言われます」と言うのだ。
この「ずるい」の使い方が私にはどうも居心地が悪い。
「ずるい」とは悪賢い、狡猾だ、こすい、
辞書には「自分の利益を得たりするために、要領よく振る舞うさま」とある。
「その肌、ずるい」というのは
ここでは褒め言葉のように使われているけれど
考えてみたら
「その年齢の人には思えないほど、お肌が綺麗だ、
そんなふうになるには、
何か悪賢くて狡猾な手段を使わなければ有り得ないだろう、
周りの人から、そのように思われるほど効果的な化粧品です…」
ということなのだろうと思う。
肌の美しさを「ずるい」と表現する場合、
「ずるい」には「羨ましい」という羨望の気持ちが含まれる。
中には「妬み」のような気持ちまで含まれていそうで…
素直に、その肌の美しさを肯定していないように感じる。
「その肌、ずるい」と言われた人が得意そうなのも
やはり私は居心地悪いのだった。
最近、この「ずるい」は日常会話でも
「〇〇ってずるい」と羨ましい気持ちを表すのによく使われているようだ。
言葉は変わっていくものだけれど
私は、このような屈折した(?)使い方には慣れないだろうと思った。