またまた『モモ』◇
またまた『モモ』から。
星の時間について
マイスター・ホラがモモに言う
***
「いいか、宇宙の運行には、あるとくべつの瞬間というものが
ときどきあるのだ。それはね、あらゆる物体も生物も、
はるか天空のかなたの星々にいたるまで、
まったく一回きりしかおこりえないようなやり方で、
たがいに働きあうような瞬間のことだ。………
***
啐啄同時(そったくどうじ、そつたくどうじ)という言葉がある。
『モモ』の中で
星の時間について読んだ時に浮かんだのは
この「啐啄同時」だった。
これは禅からの言葉として有名で
教育者がよく引用するのを聞いたことがある。
中国宋代の書『碧厳録』(へきがんろく)にある言葉だ。
(碧厳録は禅問答を集めた本。登場するのは主に唐代の禅師たち。)
「啐(そつ)」とは、鳥(鶏)の卵が孵化しようとする時、
雛が外に出ようとして、殻を内側からつつく(鳴く)こと。
「啄(たく)」とは、親鳥(母鶏)がそれを助けようと、
外側から殻をつつき割ること。
その絶妙なタイミングは、まさに自然界の神秘!
内側と外側から同時に同じ所をつつく。
このタイミングが合えば、
呼吸が合えば、
固い殻も簡単に破れる!
「啐啄同時」
禅では師家(しけ・指導者)が雲水(修行者)を指導していく上で
一番大事なこととされていたのだそうだ。
雲水の修行の度合いを適切に見抜いて
最適な指導をする必要があるのだ。
またとないタイミングで師弟が助け合う瞬間♪
「啐啄同時」には
「これを逃したら二度と得ることのない好機」という意味もある。
マイスター・ホラが言う「星の時間」も
まさに
この全てのタイミングが合った瞬間のこと♪♪♪
全ての人が
それぞれの星の時間を持っている!
マイスター・ホラは言う…
***
「………ざんねんながら、人間はたいていその瞬間を
利用することを知らない。
だから星の時間は気づかれないままに
すぎさってしまうことが多いのだ。
けれどもし気がつく人がだれかいれば、
そういうときには世のなかに
大きなことがおこるのだよ。」
***
そのためには
星の時間をあらわす時計と
この時計の読み方を知らなくてはだめなんだ…と
マイスター・ホラは続ける。
啐啄同時も
星の時間のように
絶妙のタイミングで
啐の思いと行動と啄の思いと行動が一致する瞬間だ♪♪♪
この瞬間を知らず知らずに経験していて…
後から思えば、
あの瞬間が!
あの時が!
あの出会いが!
まさに絶妙なタイミングだったのだなあ!!!
と思うことがある…
「星の時間」も「啐啄同時」も
「今」を生きている人は
その瞬間を
多分、見逃しはしない…
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