red-earth's blog

(2017.6.25)red-earth’s diary から移行しました。女性ヴォーカル好き、写真好き…

またまた『モモ』◇

またまた『モモ』から。

星の時間について
マイスター・ホラがモモに言う

***
「いいか、宇宙の運行には、あるとくべつの瞬間というものが
ときどきあるのだ。それはね、あらゆる物体も生物も、
はるか天空のかなたの星々にいたるまで、
まったく一回きりしかおこりえないようなやり方で、
たがいに働きあうような瞬間のことだ。………
***


啐啄同時(そったくどうじ、そつたくどうじ)という言葉がある。


『モモ』の中で
星の時間について読んだ時に浮かんだのは
この「啐啄同時」だった。


これは禅からの言葉として有名で
教育者がよく引用するのを聞いたことがある。


中国宋代の書『碧厳録』(へきがんろく)にある言葉だ。

(碧厳録は禅問答を集めた本。登場するのは主に唐代の禅師たち。)

             

「啐(そつ)」とは、鳥(鶏)の卵が孵化しようとする時、
雛が外に出ようとして、殻を内側からつつく(鳴く)こと。


「啄(たく)」とは、親鳥(母鶏)がそれを助けようと、
外側から殻をつつき割ること。


その絶妙なタイミングは、まさに自然界の神秘!


内側と外側から同時に同じ所をつつく。
このタイミングが合えば、
呼吸が合えば、
固い殻も簡単に破れる!



「啐啄同時」
禅では師家(しけ・指導者)が雲水(修行者)を指導していく上で
一番大事なこととされていたのだそうだ。
雲水の修行の度合いを適切に見抜いて
最適な指導をする必要があるのだ。


またとないタイミングで師弟が助け合う瞬間♪


「啐啄同時」には

「これを逃したら二度と得ることのない好機」という意味もある。



マイスター・ホラが言う「星の時間」も
まさに
この全てのタイミングが合った瞬間のこと♪♪♪


全ての人が
それぞれの星の時間を持っている!


マイスター・ホラは言う…

***
「………ざんねんながら、人間はたいていその瞬間を
利用することを知らない。
だから星の時間は気づかれないままに
すぎさってしまうことが多いのだ。
けれどもし気がつく人がだれかいれば、
そういうときには世のなかに
大きなことがおこるのだよ。」
***

そのためには
星の時間をあらわす時計と
この時計の読み方を知らなくてはだめなんだ…と
マイスター・ホラは続ける。


啐啄同時も
星の時間のように
絶妙のタイミングで

啐の思いと行動と啄の思いと行動が一致する瞬間だ♪♪♪


この瞬間を知らず知らずに経験していて…
後から思えば、
あの瞬間が!
あの時が!
あの出会いが!
まさに絶妙なタイミングだったのだなあ!!!
と思うことがある…


「星の時間」も「啐啄同時」も
「今」を生きている人は
その瞬間を
多分、見逃しはしない…


碧巌録〈上〉 (岩波文庫)

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碧巌録 (下) (岩波文庫)

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