『光の帝国』◇
恩田陸の『光の帝国』
読むたびに泣ける本で、時々泣きたいから読むのか、読んだから泣くのか、分からなくなる。
『光の帝国』は不思議な能力を持つ常野(とこの)の人々の物語で3部作の一冊目。
『蒲公英草紙』『エンド・ゲーム』と続く。
はじめて『光の帝国』を手にとったのは旅先で、仙台の本屋さんだった。
地元本コーナーに出たばかりの本が積んであった。
宮城県出身の恩田陸さん。
柳田國男の『遠野物語』に通じる気がする「常野物語」という副題。
心惹かれて旅先で読み始めた。
あれから12年、まだ感動が続く本って、いったい???!!!
少し抜粋
〜〜〜
「僕たちは、光の子供だ。どこにでも、光はあたる。光のあたるところには草が生え、
風が吹き、生きとし生けるものは呼吸する。それは、どこででも、誰にでもそうだ。
でも、誰かのためにでもないし、誰かのおかげというわけじゃない」
「僕たちは、無理やり生まれさせられたのでもなければ、間違って生まれてきたのでもない。
それは、光があたっているということと同じように、やがては風が吹き始め、花が実をつけるのと
同じように、そういうふうに、ずっとずっと前から決まっている決まりなのだ」
「僕たちは、草に頬ずりし、風に髪をまかせ、くだものをもいで食べ、星と夜明けを夢見ながら
この世界で暮らそう。そして、いつかこのまばゆい光の生まれたところに、みんなで手をつないで帰ろう」
〜〜〜
抜粋終わり。
これは子供たちの一人が考えた「お祈り」で皆寝る前にこの祈りを唱えるのだ。
この場面、好きだなあ♪
ふと常野一族が密やかに穏やかに淡々と私の周りに息づいているような気がすることがある。
様々なものたちの気配とともに私も生きている。
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